soramati.txt

No.15

"喋る音楽"に興味がある。


拍の通りに言葉が置かれているので歌と同じように聞けるかと思っていると「すり減ってしまったテープは」とか「途切れてはまた繋がってを繰り返す」とかのあたりでリズム崩されて不安定になるのが良い。


音が全部いい。詞の言葉選びも含めて。
上質な余韻の残る低音と吐息混じりの高音の組み合わせで脳が溶ける。


こんな絶望の表現があるのかと衝撃を受ける。
淡々と過去の栄光に縋り続ける詞の繰り返しで情緒がぐちゃぐちゃになる。
「さあ頑張って」という無責任な声援があまりに明るくて気持ち悪さに拍車をかける。


この曲そのものが一本のショートフィルム。
語りがあることでドキュメンタリーっぽい雰囲気になってるのが好きだ。

言葉や文章にも音階とアクセントがあってリズムを生むから、これもまた音楽なんだなあという気持ちを再確認するなどした。

で、
極端な話をするけど喋る音楽が好きな原体験は消失かもしれないな。

音楽の中で物語をやっていいんだ、という事を最初に知ったのはこれだと思う。

#音楽

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